2008年01月11日
ここ日本では「欲しがりません、勝つまでは」よりもずっと昔から、じっと耐えることが美徳とされて来た。現代になって、今まで耐えて来た「弱い立場の者」に発言権が与えられるようになったとは言え、他国に比べれば、まだまだ苦難に耐え忍ぶサムライが多い。「耐え忍ぶ」反面、「自分の意志がない」「適当にその場をつくろう」者も多い。「NOと言える日本」は、そんな日本人の特性を再認識させてくれたベストセラー本だ。良く言えば慎ましやかで平和主義、悪く言えば曖昧で八方美人。そして社交辞令という良くも悪くもあるルールが存在する。「最高なのは英国人の執事・中国人の料理人・米国人の友達・日本人の妻で、最悪なのは英国人の料理人・中国人の執事・米国人の妻・日本人の友達」とはよく言ったものだ。日本人の妻はつつましやかだが、日本人の友達は「今度飲もうね」の今度がまずやって来ない。
だが、時にははっきりと自分の思いや真実を言うことも必要だ。黙ってのど元を過ぎるのを待つことが大人になることとは、一概に言えないと思う。そもそもサムライとは、耐え忍ぶことだけが本来の姿だったのか。自分の命を賭して、名誉や魂や意志を貫こうと刀を抜く、これがサムライの姿だったのではないだろうか。という訳で、たまにはみんなが言いたいことを代弁する。
「偉そうに語ってるが、最も低予算なのはその映画を見てるお前の身なりだ!」
「入信断っただけで嫌な目に遭うってよ、お前んとこの神様って器小せぇな」
「空気は読むもんじゃない。変えるもんだ。ただ吸ってるだけのお前が言うな」
「ごちゃごちゃ言うな。沢尻エリカも朝青龍も、お前のことなんか嫌いだよ」
「眼科行け。悪いとこだけじゃなく良い所も見えるようにしてくださいって」
「自販機!夏もホットを売れ!むしろコーヒーはアイスがイレギュラーだ!」
今回は、ずっと黙り続けていた男が、もしも我慢の限界を越えたら、という一枚。つっても彼、最終回には喋ったんだけどね。まぁとにかく、誰でも一度は言いたくなるさ。王様の耳はロバの耳。
浅沼晋太郎(あさぬま・しんたろう)
舞台、テレビ・映画、ラジオなどのシナリオライター、演出家。
俳優・声優としても活躍中。2007年、アミューズメントユニット「bpm」を結成。